両片想い喰らい
私はここまでお芝居について学んできて、卒業してもお芝居を続けていきたいと思っていた。だが、卒制での出演はなし。 (出演予定だったものが選考会で落選したり、俳優コースではない外部へ出演オファーをする組などが多数)
私が、3年間やってきたことは何だったのか。4 年間の学びの集大成として「映画に出演し、お芝居をする」という明確な気持ちや目標が、全て白紙になった。考えても考えても、やはりその気持ちは捨てられず、先生方に私の気持ちを伝え、話し合いの末、卒業制作として「お芝居の向上のためになることをする」という結論に至った。
恋愛の2人芝居(『両片思い喰らい』舞台形式、観客あり)と、1人芝居(『雪の練習物語』カメラ1台フィックスのみ、観客なし)といった全く違った2つの作品を私なりに試行錯誤を重ね挑んだ。
あらすじ
新しいバイト先に入った主人公の杉野雪乃(21) 職場の先輩である朽木たいき(27)と仲良くなり徐々に恋心を抱いていく。恋愛経験があまりない杉野雪乃は日々ドキドキし、相手の行為からも好意を持たれていると感じ告白へのカウントダウンが始まる。それを必死に止めようとするこの物語の司会進行含め頭の中の片隅にいるユキノ。なぜなら朽木たいきは彼女に対して恋心はなかったからだった。
STAFF
出演 : 雪乃 丹羽 玄長
脚本・衣装・メイク : 秋山 華音
撮影 : 井上 悠大
照明 : 上田 美華 中山 創太
録音 : 川波 知弘
舞台セット : 夏原 海斗
制作 : 島田 知奈 薬師寺 初音 新名 朱里
編集 : 髙橋 昇
フライヤー制作 : 長澤 花咲
Special thanks : 鈴木 歓 鈴木 卓爾 木田 紀生
CAST
雪乃
Yukino
(杉野雪乃)
(ユキノ)
2000年1月27日生まれ
大阪府出身
私が生まれる少し前、天王寺動物園で生まれたユキスケという真っ白で美しいシロクマを見ていた両親。時が流れ、私の生まれた日は大阪では珍しく朝から雪が降っていた。看護師さんも驚くほど肌が白く産まれてきた私は「雪のように清らかで、美しい子に育ってほしい」と雪乃という名前を貰った。
幼い頃に國村隼さんのお芝居を見て俳優を志し、大学入学後からお芝居を始める。
作品へのメッセージ
この作品では、演出家や監督という、トータルかつ客観的に芝居を見る役割をする人間がいなかった。『演出家や監督がいないとどうなるのだろう?』という試みのつもりで始めた。
実際の稽古では、俳優コース製作コース関係なく、同級生に見てもらい意見を聞くというスタイルをとった。最初は、 芝居を見た同級生の客観的な意見や個人的な感想に対して、「じゃあそうします」と2 つ返事をするばかりであったが、自ら芝居をする場を作りだしたことによって、稽古を重ねるごとに、この役ともっと心を通わせたい、という気持ちが強く芽生え始めた。「今〇〇〇といったことを思い考え、演じていたのだけど、どう見えたかな?」という私の言葉に対して、「〇〇○のように見えたよ」という観客目線な意見。 「今のシーンはもっと〇〇○に動いた方がお客さんに伝わりやすいと思う」というものには、私と丹羽くんですぐに共有し、1度演じて見せ「〇〇○でとても良いと思う」という意見を貰う。という純粋な意見 交換(ラリー)が出来るようになっていった。
そして、その意見交換(ラリー)を何度も反復しておこない、芝居に終わりを設けず、微調整していった。そうすることで、明らかにこれまでとは違い、受動的ではなく能動的にお芝居と向き合えるようになっていた。
そして、お客さんの前でのお芝居、つまり本番の日。自分で作ってきた場だったため、お芝居のことが頭にありながらも、本番ギリギリまで制作面など別のことをしていた。そのため、落ち着く間もないまま、自分で最初のセリフを発し、スタートをきった。 それは今まで味わったことがない不思議な感覚だった。その上で、集中出来なかったというわけではない。
無論、目の前にお客さんがいることに対しての緊張はあった。だが、失敗しても私の責任だからという心持ちだったからか、恥ずかしさや何かに縛られる感覚はなく、自らの手で殻を破ることができた。この時、自由になるという感覚を、お芝居をしながら見出した瞬間だった。
30分に詰め込まれたクズさ全開の朽木とピュアで乙女な雪乃、コテコテの関西弁なユキノをどうぞお楽しみください。
丹羽 玄長
Harunaga Niwa
(朽木たいき)
2001年7月5日生まれ
愛知県出身
中学3年の時に舞台と演技の世界に惚れ込み、高校にて演劇部に所属。その後映画演技にも興味を持ち、京都芸術大学に進学。現在に至る。
作品へのメッセージ
高校以来久しぶりに舞台でお芝居をすることに、多くの期待と不安を抱いていました。今回僕が演じたのは27歳の男。しかし僕は齢20。それに加えて制作陣の方々は皆上回生の先輩。この環境の中で誰よりも年上のキャラクターをつくることは容易ではありませんでした。しかし、制作陣の皆さんの熱烈なご指導の甲斐もあり、中々最悪(褒めてます)なキャラクターに仕上がったのではないかと思います。
「恋愛」という、殆どの人に通ずるであろう悩ましくて果てしないテーマ。「あるある〜」「ないわ〜」と内心相槌を打ちながら、ぜひぜひお楽しみください。
脚本
秋山 華音
Kaon Akiyama
2000年2月7日生まれ
大阪府出身
高校生の時にプロデューサーに憧れ、京都芸術大学に入学。
作品へのメッセージ
脚本の授業は取っていたものの、こうして誰かに演じてもらう機会は無かったので、人生に残る最高の思い出のひとつになりました。見ている人が入り込みやすく、楽しく、まるで主人公の友人のように親身になれる、そんな作品になるように心がけました。
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